やさしい体温

百合もの。短編   「やさしい体温」  夏の日は長い。窓の外の蝉時雨がまるで耳元にいるみたいに響いて、発狂寸前の右脳左脳を抱えてる。長い以外何の特徴もありやしない世界史の佐野のオナニーみたいな授業を、怠惰なまま頬杖ついて聞いていた。  机の端の落ちそうな位置に置いてあるCCレモンのし…
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ぬくもり

零~紅い蝶~。短編 「ぬくもり」  浅い眠りから追い出されるように目覚めて、見上げた白い天井は、底の抜けた空の ように遠くぼやけていた。  確かに見ていたはずの夢の終わり、僅かに目を掠めたその尻尾を懸命に追いかける けれど、決して追いつくことはできない。もう、影さえこの眸には…
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花のよう

百合もの。短編 「花のよう」  旧校舎の裏手、朝も夕も構わず、常から深更のような香りに包まれている大きな木陰に、その像は佇んでいる。名も知らぬ花々に囲まれて、しとやかに流れる時間の中に身を任せている。  当然、立ち寄る人は少ない。存在を知らない生徒だって或いはいるだろう。私も…
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東京

百合もの。短編 「東京」  東京の空に初めて星を見つけたのは、何と仕事中のことだった。白昼から青空にぽっかり浮かんでいる間抜けな月の横っ面で、妙なものが一閃したのをこの目が認めた。  茨城の辺鄙な街並みに縁取られた空に浮かぶそれとはやはり何処か違い、何だかその瑣末な物体は、UFOみたいに刹那の内…
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はつ恋

けいおん! 唯×紬 「はつ恋」  もう、三月なのに。そんな呟きが気だるげに街中を覆っていく。灰色の空からは、雪がちらちらと降ってくるものだから、私も少し空を見上げて、ひとつ溜め息を吐いたりした。  子供の頃、あんなに雪に対して心が躍っていた気持ちは一体、今はどこに隠れてしまってるのだろう。そりゃあ…
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ベッドの上の、彼女の隣。

けいおん! 唯×紬 「ベッドの上の、彼女の隣。」  重く軋む首を無理矢理仰ぐと、古扉の蝶番のような音がきりきり鳴って、鈍い痛みが私の身体を閃光のように貫く。窓枠の中を覗き込むように見上げた冬の狭い夜空は、どんよりと暗い。目覚めたばかりの頭では、何もかも理解が遅い。もう、時間はどれくら…
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鐘の音

けいおん! 唯×紬 「鐘の音」 「――唯ちゃんは、ご両親が恋しくなったり、しないの?」  二人を覆う沈黙を掻き消すような声色で、紬は言う。冬の空はどんよりと暗く、唯が首を少し上げると、場末の家々や電信柱が囲む、小さく切り抜かれたような空が覗けた。  部活もない…
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幸福のルール

けいおん! 律×澪 「幸福のルール」 「私の生命線、凄い短いぞ」  テレビの前で律儀に正座し、自分の掌を穴が開くほど強く見つめながら、彼女はぽつりと呟やいた。  寂しげに項垂れているその背中が、何故だかいつもより小さく映るのは恐らく、気のせいなんかではないのだろう…
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サンタ・クロースはもう来ない

けいおん! 唯×紬 「サンタ・クロースはもう来ない」  街並みはすっかり十二月の色に染まっていて、中心街に並び立つ洒落気のきいた家々ではもう既にサンタやらトナカイやらのイルミネーションが備え付けられている。  昼間は死んだように静かだが、一変、夜にその道を通ると途端に、その家全…
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愛が足りないと私は言う

けいおん! ムギ×律 「愛が足りないと私は言う」  愛が足りない。と、私が呟いたら、彼女はすぐに、そんなことはない。と、否定した。  二人きりの部室は、まるで時間が止まったみたいに深閑としている。ときたま吹いた風にカーテンが揺れる衣擦れの音だけで、あとは他に、何も無い。  冗談みたい…
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三薔薇奇譚

マリア様がみてる 「三薔薇奇譚」    イケナイ行為だと自分の頭で十分に理解しながら、尚もそれを実行するのって、とても心臓に悪いことなんだと、私は気づかされた。誤って飲み込んでしまったガラスの破片が胸の内奥で、ちくちくとしつこく痛むような焦燥を感じていた。  五月の夕暮れ時の優しい暗がりが、静かに…
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迷い猫

けいおん! 梓×律 「迷い猫」    いつもは見上げないこの時間の青空は、まるで私の心を鏡みたいに映し出すように、ぼんやりとしている。どっち付かずのままはっきりしなくて、輪郭も歪んでいる、優柔不断な空である。淀んだ鼠色の、薄ぼんやりとした雲の羅列も、私の心の中を今、気ままに泳いでいる朦朧とした悩み…
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拝啓、絶望殿

けいおん! 澪×律 「拝啓、絶望殿」   拝啓。  蝉の煩さが、ようやく気にならなくなってきました。過ごしやすいか否かと問われると、まだ首を傾げたくなるような不快指数ですが。ジメジメとした蒸し暑さは、ようやくのことなくなりました。しかしそれでも、残暑の厳しい毎日です。さて、いかが…
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斜陽

けいおん! 律×澪   「斜陽」    夏も終わる少し前。  九月一日が見え隠れして、みんなと学校で会えるのが待ち遠しいような。それとも、もう少し、こんな感じで休んでいたいような……。そんなふうに、自分の気持ちひとつも察することが出来ずにいる午後。  自分の部屋の窓辺で、一丁前…
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しじま

マリア様がみてる 聖×蓉子  何もない放課後だった。  卒業を間近にした三年生の私たちは生徒会活動も無く、受験シーズンも終えて勉強に追われることもない。大学に向けて、予習をする必要はあるかもしれないが、今はどうしてもそんな気分にはなれなかった。  あまりにも紅茶が飲みたくて、溜息のついでに見上げた…
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夏の終わり

マリア様がみてる 「夏の終わり」  怠惰な晩夏の気だるい微熱を孕んだ風が窓から気付かせるように吹いてくる。私は、傍を通る度に冷蔵庫の扉を開けてしまう癖を、どうにかして直さなければならないな、なんてことをふと考えている最中だった。  口に咥えたアイスの溶けた汁が唇を濡らしていくと、私は…
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Today

涼宮ハルヒの憂鬱 ハルヒ×キョン   「Today」  テレビでは世界を交差する絶え間ない事実についてを視聴者に伝える。イスラエルの街は崩れ落ちていた。  戦争であるのかもしれない。災害であるのかもしれない。そのどちらであるのか、俺にはよくわからなかった。  瓦礫で埋もれた家…
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ピストル自殺

百合もの。短編 「ピストル自殺」   私の姉はノルウェイの、とある街の真ん中で死んだ。  仕事の関係でノルウェイへと向かわなければならなくなった姉は、朝一番の飛行機に乗ってあっという間に飛び立ってしまった。その当時私は17歳で、ただの女子高校生だった。他の17歳と何も変わらない、純粋な学生であった。…
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ひとのはなし。

百合もの・短編 「ひとのはなし。」 「時々、私は不安でしょうがなくなるんです」と、彼女は震えた声で私に言った。  白衣の下で何か得体のしれないものがもぞっと音を立てて動いたように感じる。  その感覚が気のせいであるのか、そうでないのか、確認することが出来ない。  嗚呼。と、心の中…
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Irregular world

百合もの。短編 「Irregular world」  交差点の向こうに見知った顔が見えた。青信号が終わる前の規則正しい点滅から、赤信号に変わった。交差点の向こう側に立つ彼女も江梨香に気づいたのだろう。太陽みたいな笑顔を飾って、こちらに向かって大きく手を振ってきた。  それを見て江梨香は、手に…
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陽だまり

マリア様がみてる 「陽だまり」  コト。と、テーブルにコップを置いたとき、小さく音がした。今この部屋にあるのは、私とその音だけだった。  一番乗りにこの部屋に辿り着くたびに、いつも私は思う。この部屋に絶対的に足りないもの。それは音なんだろう、と。テレビとまではいかなくとも…
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或る日の帰り路

マリア様がみてる 志摩子×由乃   黄昏時のマリア様は、夕日に照らし出され、その姿を黄金色に染めている。  夕暮れを優しく彩る風が草木を揺らすと、微かだけれど、初夏の匂いが運ばれてくる。  今日もこのリリアン女学園は平和に循環していて、部活や委員会でもやっていない限り、今の時間…
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White satan

涼宮ハルヒの憂鬱 長門×ハルヒ   私は、貴方に会いたいと願う。考える。そして、想像する。  だから、私と貴方は今日という日に、出会えたの。  私が願えば、だって、神様はいつだって、私の味方なんだもの。 「White satan」 …
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邂逅日和

涼宮ハルヒの憂鬱 佐々木×キョン     我輩は恐らく猫である、と思う。断定出来る自信が無いのだ。済まないが一つの仮定として受け止めてくれ。  そして当然のように我輩には名が無かった。  かの有名な漱石氏の描く猫とは何ら関与を持っていないのは、読者諸君にも理解してもらえると思う。  何せ時代が違う…
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Deep Gray

涼宮ハルヒの憂鬱 ハルヒ×キョン   白く光りながら降り積もる雪。  少し開いたカーテンから、小さく覗く十二月の世界。  ふわふわと北風にその身を任せながら、一片の雪がこの地に下りる。  そして、やがて人知れず、静かに死んでいく。  雲は分厚く、濁っている。しばらくすると、その雲からは視界…
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朝焼けの詩

涼宮ハルヒの憂鬱 佐々木×キョン  朝、僕は目を覚ます。 まず僕の視界いっぱいに映るのは、キミの寝顔。幸せそうなその寝顔。 どうやら、ここはベットの中らしい。僕は眠っていた。目の前の彼も、やはり眠っている。 僕達はお互い、裸であった。身につけているものは、僕の左手首に巻かれている…
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Best Friend

涼宮ハルヒの憂鬱 ハルヒ×佐々木 「真実なんてのはいい加減なものよ。だって真実は建前が無いと成り立たないのよ。建前が無いと、真実は価値を失ってしまうの」  夜を泳いでいる小さなバー。その中で彼女は一言、そんな言葉を叫び散らかして、飲み掛けのビールが入ったジョッキをテーブルに勢い良くたたき付けた。…
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夜とコーヒーと本と彼

涼宮ハルヒの憂鬱 佐々木×キョン  テーブルの上で小さく存在しているブラックコーヒーを、僕は一気に飲み干してしまう。 喉の奥で、余韻が残る。苦い。だが、悪くない。と言った感じの余韻。 僕は先程までコーヒーが注がれてたコップを、テーブルに置く。コツンと音がする。 沈黙という海の中で…
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Ontology

涼宮ハルヒの憂鬱 佐々木×キョン  世界はいつの間にか黒幕が掛かったような闇で埋もれている。 風が吹き抜けると、それが今は、千の刃のように、痛ましく、そして悲しく、私達の心の奥の奥に強く響き渡っていた。 三日月は高い。あのような物体が私達の遥か上空に存在し、そして認識されている事を…
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雨待ち風

スケッチブック 葉月×空  雨音が鳴り響く、日曜日の昼下がり。雲は隙間無く陽を覆っている。そんな蒼い午後。 目に映る全ての物が、雨に濡れている。自動販売機や、電線。本屋さんや、空を飛ぶ鳥達も。 雨の日の事を、天気が悪い。なんて言うけれど、私はそんな雨が、嫌いにはなれないのだ。 雨で濡れて…
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